青山学院大学将棋部

主に部活の紹介を行っています!

2021年度ポスター感想戦(部員雑観シリーズ)

2021年度前期も終盤に差し掛かろうとしています。

昨年度に引き続き実際に顔を合わせての活動ができていませんが、オンラインでの活動やリモート部内大会を通じてなんとかつなぎとめています。部室が恋しいですがオンラインでは青山・相模原両キャンパスの部員が集うので、今まで日常的に難しかった場所的な制約を超えたかかわりが実現しています。数年後には部室とオンラインのハイブリット活動が浸透するかもしれません。

 

今年度からキャンパスでのパンフレット配布および部活・サークル紹介冊子がなくなり、部活・サークルの紹介は大学のアプリ「らいふいん青山」に掲載されるようになりました。それを補う形で6月21日より青山キャンパスに宣伝ポスターが掲示されることになったため、将棋部もポスターを作成することにしました。今回はそのポスター作成の過程等をお話しします。

 

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2021ポスター

 

将棋部の連続性を表現するために、お馴染みのTwitterアイコンをベースにして「青山」の駒の部分に新たな駒を重ねました。青学のスクールカラーは青緑と濃緑ですので従来のアイコンになかった濃緑を強調させました。(しかし上手く色が反映されていませんね…)

余力があればチェックメイト部を象徴するものも背景に追加できたらよりよかったかなと思います。

 

「青山」の駒の周囲には部内で募集した短いテクストと格言を4つ載せました。ほかにも「金底の歩岩より固し」、「田楽刺し」、「銀は引く手に好手あり」、「玉の早逃げ八手の得あり」、「前進できぬ駒はない」(中原誠)、「厳しい戦いのなかでも将棋を楽しむ心を忘れないようにしなさい」(内藤國雄)、「勝負師とは計算することなり」(加藤治郎)などが候補に挙がりました。テクストについては強いことばになりすぎないようなものを、格言については未経験者でもそれとなくわかるかもしれないものを選びました。

 

基本情報の活動場所では「オンライン」を筆頭にしました。学生生活をめぐる状況・環境をふまえれば感染しうる場自体を設けないことが最善です。

 

また、作成にあたり用いたグラフィックツールはごく一般的なものです。ペンタブ等であれば駒のデザインもより精緻になっていたでしょうか。

 

ポスター全体のデザインについては他にも案があり、ことば(「玲瓏」など)のみを載せる案や、ポスター全体をテクストと格言で埋め尽くす案、大道詰将棋を出題する案がありました。

 

以上のような選択肢があり、逡巡があり今年度のポスターが完成しました。今後気まぐれに他の案をもとにしたポスターを作成するかもしれませんが、ひとまず今回のポスターを勧誘活動等で使用していく予定です。

 

では。 (^^)/~~~

 

 

2021年度部長 滝澤

青山詰めの創作風景(後編)(部員雑感シリーズ)

前編の続きです。

 

STEP2:1手詰を作る

作りたい詰将棋をイメージできたら、いよいよ具体的な図面を考えていきます。詰将棋を作る方法はさまざまですが、その1つに、1~5手詰程度の短い詰将棋を収束として、そこから1手ずつ逆算して手数を伸ばしていく方法があります(逆算式)。今回は目指すべき詰め上がりの形が決まっていますから、この方法を使いましょう。詰め上がりが「山」の字となるような1手詰を作ります。

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図1(▲5三銀成まで 1手詰)

盤面をじっと眺めて考えているうちに、両王手の詰め上がりを思いつきました(図1)。余詰(=他に詰む手順)も特になさそうです。この時点では、3四と3五の駒が「山」という字を形作るためだけで詰み手順に関係しない駒(=飾り駒)ですが、これは今後手数を伸ばしていく過程で解消していくことにしましょう。

 

STEP3:逆算して手数を伸ばす

1手詰ができたら、逆算して手数を伸ばしていきます。この時、次の2つを意識しました。

 ①捨て駒など、できるだけ妙味ある手順を盛り込む。

 ②すべての駒の配置に意味を持たせる。

①はやはり詰将棋ですから、平凡な手順の連続では面白くありません。捨て駒(特に2枚以上駒が利いている地点に捨てる焦点捨て)が多く入ると、ぐっと詰将棋らしくなります。②も重要で、1つの駒の配置に複数の意味を持たせられるとなお良いです。今回のようにあぶり出しの創作の場合は、まず飾り駒に意味を持たせる方向で逆算していきます。
さて、図1から捨て駒で逆算するとなると、▲5五銀打(or金)、△同X、▲5三銀成という手順が思い浮かびます。退路封鎖の手筋です。Xに入る駒はいろいろと考えられますが、ここではひとまず桂にしてみましょう(図2)。

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図2(▲5五銀打△同桂▲5三銀成まで 3手詰)

このままだとまだ3四と3五の駒が飾り駒なので、意味を持たせるようにさらに逆算します。玉を一路寄せて、5四に飛を捨てて呼び出す手順を考えました(図3)。3四に攻方の歩、3五に玉方の歩を配置することで、玉の逃げ道をふさぐ意味を持たせています。

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図3(▲5四飛△同玉▲5五銀打△同桂▲5三銀成まで 5手詰)

飾り駒の存在を解消し、捨て駒が連続で入ったことで、だいぶ詰将棋らしくなってきました。2連続の捨て駒が入ったら、次に目指すは3連続の捨て駒です。さらにもう2手逆算すれば、発表図の完成です。

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発表図(▲4五銀以下 7手詰)

STEP4:検討・推敲をする

詰将棋が完成したと思ったら、その詰将棋に不備はないか、またもっと良い配置や手順はないかを確認します。余詰がないことの確認には、柿木将棋というソフトも使用しています。高い精度で余詰を検出・指摘してくれるので、創作には大変役に立ちます。

検討の結果、不備は見つからず、上の図で詰将棋として成立しているようです。あとはより良い配置や手順を求めることになりますが、「捨て駒中心で、解後感が良く難解でない『山』の字のあぶり出し」という当初の目標は達成できていると判断し、これで完成としました。

〈補足〉

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参考図

 発表図をさらに発展させるなら、参考図のような案もあります(▲4五金以下9手詰)。3枚の桂が跳ねだすというストーリーがあるので、こちらの方が手順としては上でしょう。ただし、今回は3部作を7手詰で統一したかったので、採用を見送りました(8手目△同桂と取らずに△5三玉と逃げる変化も正解となり、最終3手とはいえあぶり出しとしてはかなり気になるところで、修正の余地がありそうです)。
 

ここまで詰将棋創作の過程をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。この記事を通して、将棋は指すだけではなく、詰将棋を解く、そして作るという楽しみ方もあるということを知って頂けたらとても嬉しいです。

(文責:河野)



 

青山詰めの創作風景(前編)(部員雑感シリーズ)

こんにちは。4年の河野です。

先日、東京では桜の開花が発表されました。春の訪れを感じますね。

今回、「部員雑感シリーズ」の一環として私も記事を投稿しようと思います。

 

以前、将棋部のTwitter詰将棋を出題したことがありました。

あぶり出しの3部作で、詰め上がりが「ア」「オ」「山」になるというものです。まだ解いていないという方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。

さて、このように詰将棋を作っていると、「どうやって作るの?」とたびたび聞かれます。将棋が好きな方でも、詰将棋は解くことはあっても、作ることはないという方が多いようです。

そこで今日は、発表した詰将棋はどのように作られたのか、その過程を紹介してみたいと思います。私自身、創作について語れるほどの創作技術は到底ありませんが、できるまでの過程の雰囲気だけでも感じて頂ければ幸いです。

 

STEP1:作りたい詰将棋をイメージする

 さあ詰将棋を作ろう!…と、まずはその前に、自分がどんな詰将棋を作りたいのかをイメージする必要があります。実戦で生じたかっこいい詰みを再現したい。大駒を華麗に捨てる詰将棋を作りたい。初級者が手筋を学べるような易しい詰将棋を作りたい。何でも構いません。このイメージが、これからできる詰将棋の核となります。

今回、詰め上がり「山」の作品について、私は次のようなイメージで創作を始めました。

 ①詰め上がりが「山」の字となるあぶり出し。

 ②飾り駒は置かない。

 ③手数は1桁台で、手順もあまり複雑すぎないもの。

 ④捨て駒を多く取り入れた、解後感の良いもの。

①に関しては、詰め上がりが3つ合わせて「ア」「オ」「山」となるのが作品の最大のアピールポイントですから、絶対の条件です。②の飾り駒とは、作意手順や変化手順などに一切関係のない、詰将棋として成立させるためには不要な駒のことです。③に関しては、少しでも多くの方に目を留めてもらうためには、あまり難しすぎない方が良いでしょう。④は、やはり捨て駒が多くあった方が解いていて気持ち良く、詰将棋らしさが出ます。

このように作りたい詰将棋のイメージができたら、次はいよいよ創作に取りかかります。

 

後編に続きます。

詰将棋の解き方講座 部員雑感シリーズ1

詰将棋の解き方講座

 

①一間龍

今回から、初心者~級位者の方向けに詰将棋の解き方を解説していきたいと思います。第1回となる今回は、一間龍を紹介します。

一間龍とは

一間龍は、将棋における最強のコマである龍を用いた寄せの手筋です。王様と龍がひとつのマスを挟んで向かい合った状態を一間龍と言います。

[画像]代表的な一間龍の形

一間龍に迫られてしまった王様は、逃げるか合駒を打つしかありません。ですが、逃げるにしても龍の利きは強力なので逃げ道はかなり限定されます。なので合駒を打つことが多いのですが、合駒は龍から王様を守っている駒なので、自由に動かすことが出来ません。いわば動きをロックされたコマなので、一見守りに効いているようで実はほとんど守りが効かない無意味なコマになってしまうことも良くあります。

 

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それでは実際に一間龍を用いた詰将棋の問題をやってみましょう。詰将棋を解けるようになるコツは、分からない問題に時間をかけ過ぎないことです。5分考えて分からない問題は、答えを見て解き方を暗記してしまいましょう。詰将棋はパズルなので、多くの詰み筋を暗記することでより多くの問題が解けるようになります!

 

問題1

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問題2

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問題3

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正解と解き方は次回のブログで発表します。それでは次回もお楽しみに、アディオス!

新たな試みを始めます

更新が途切れつつある当はてなブログですが、一度に量的な発信ができる特徴を活かして新たな試みを行うことにしました。


名前は「部員雑感シリーズ」です。

将棋のこと、将棋部のことを中心に大会や日々の活動など幅広く部員の思考や感想を発信していきます。


このシリーズは不定期更新になる予定ですが、1本目の記事はすぐに発信できそうです。


どうぞお楽しみに。

 

令和3年役員人事のお知らせ

令和3年1月22日より役員人事は以下のように決定しました。

部長 : 滝澤(2)

副部長:加藤(2)

総務:栗原(3)

総務:安藤(3)

会計:大井(2)

会計:平下(1)

渉外:彦田(1)

関東大学将棋連盟幹事:永田(2)

 

※ ()は2020年度時点の学年です。

 

画面を介したオンラインでの活動を含め、模索し続けながら将棋部、大学、そして将棋界に貢献すべく一同誠心誠意務めます。今後ともよろしくお願いいたします。

令和2年役員人事のお知らせ

令和2年1月16日より役員人事は以下のようになりました。

部長 : 栗原(2)

副部長:安藤(2)

総務:河野(3)

会計:鈴木(2)

副会計:安藤(2)

渉外:中村(2)

副渉外:滝澤(1)

関東大学将棋連盟幹事: 永田(1)

活動を通して将棋部、大学、そして将棋界に貢献すべく一同誠心誠意務めます。